一般的にホラー作品の印象は、映像の強さによって決まると思われがちです。しかし、映画音響学・神経心理学・認知科学の研究では、すでに明確な答えが出ています。
人間が恐怖を感じる最大の要因は、視覚ではなく「音」である。
まず最初に、一つだけ誤解のないようにお伝えしておきたいことがあります。
私の作品は、和風ホラーのイメージが強いと言われることが多いのですが、実際には 洋風ホラー(シネマティック、ダークアンビエント、実験音響など)も和風と同じくらい、あるいはそれ以上に制作してきました。
ホラー音楽全体を対象に、幅広いスタイルで取り組んでいることを前提に読み進めていただければと思います。
では、人間の脳はどのように音に反応し、なぜ映像以上に恐怖を作りだすのでしょうか。
1. 人間の脳は“音を視覚より優先”して処理する
脳が最初に危険を察知するのは 音 です。
神経科学者 Joseph LeDoux の研究で明らかになっているように、
聴覚情報は視覚よりも短い経路で扁桃体に伝達されます。
その結果、人間は
- 暗闇の足音
- 低い唸り
- 何かが擦れる音
などを「視える前に」恐怖として感じてしまいます。
つまりホラー作品は、
音を変えただけで恐怖レベルがまったく別物になるジャンルなのです。
2. クロスモーダル効果──音が映像の“印象そのもの”を作り変える
音と視覚は常に連動しています。
心理学ではこれを クロスモーダル効果 と呼び、
- 不安な音を流すと、普通の風景が不気味に見える
- 不協和音が鳴ると、人物の表情が険しく見える
- 低音が響くと、画面全体が“重たく沈む”ように感じる
といった現象が確認されています。
このため、映像がAI生成であっても、
音楽が強ければ“リアルな恐怖”として脳が補完するということが起こります。
3. ホラー音響が恐怖を生む3つの科学的理由
① 不協和音:脳の危険システムを直接刺激する
不協和音は、動物の悲鳴・怒り声・警戒音と似た倍音構造を持ちます。
脳はこれを本能的に「危険音」として処理し、扁桃体を即座に活性化させます。
② 低周波:聴こえない音が“理由のない不安”をつくる
20〜60Hzの低音は耳ではなく身体に届くため、
- ゾワゾワする
- 呼吸が浅くなる
- 視線を感じる
- 不安が増幅する
といった反応を引き起こします。
多くのホラー映画が“ほぼ聴こえない低音”を使用する理由がこれです。
③ 予測不能なリズム:脳の予測システムを壊す
規則的な音は安心感を生みますが、
不規則な拍子・ズレたタイミング・突然の無音は、
脳の“予測モデル”を破壊し、強い不安感を引き起こします。
この特徴は、
- 西洋ホラーの実験音響
- 日本伝統音楽の“間(ま)”や変則リズム
双方に共通しており、世界中のホラーに共通する強力な手法です。
4. 和風・洋風ホラーのどちらにも共通する“脳の恐怖構造”
和風ホラーは、「間」「静寂」「不協和の余韻」を重視します。
一方 洋風ホラーは、「重低音」「シネマティックな構築」「ノイズテクスチャ」によって恐怖を組み立てます。
しかし、両者は異なるように見えて、
脳が恐怖を感じるメカニズムは同じです。
- 不協和倍音による扁桃体刺激
- 低音による身体反応
- 不規則性による予測不能感
これらは文化を超えて“普遍的な恐怖”を生む共通言語であり、
和風・洋風のどちらにも等しく適用されます。
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まとめ
- 人間は視覚よりも音を優先して危険を処理する
- 不協和音・低周波・変則リズムが恐怖を生む
- 音は映像の印象を“根本から変える”
- 和風ホラーだけでなく洋風ホラーも同等に制作されている
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